【パスナビ】 学費について考える
「大学には合格したんですけど、
それが、あんまり自分の行きたくない大学なんで、
やっぱり 浪人しようと思います。
とりあえず、そこに入学しておいて
『仮面浪人』 しておくのもアリかな と思ってます…」
この春に高校を卒業するある男子学生から、こんな話を聞いた。
なるほど、場合によってはそういう考え方もあるのかな、とは思った。
しかし、なんだか腑に落ちない。
なぜ 行きたくもない大学を受験したのか、という疑問はさておき、
もっと気にすべきことが、他にあるのではないだろうか。
大学の授業料や入学料は 時代とともにどんどん上がって、
現在では、初年度納付金が100万円以上にのぼる。
(医歯薬系では、初年度納付金が500万円以上にものぼる場合がある。)
ちなみに、国立大学の授業料は現在、53万5,800円、この34年間で14.9倍、
入学料は28万2,000円、同じく34年間で5.6倍になった。
私立大学の授業料の平均は平成20年度で84万8,178円、この33年間で4.6倍、
入学料の平均は平成20年度で27万3,602円、同じく33年間で2.9倍になった。
その他にも、実際の大学生活を始めるためには、さらに多くのお金がかかる。
一方で、たとえ「浪人」するのだって、お金はかかる。
どの選択であっても、一般的な家庭では相当苦しい出費であるはずだ。
もちろん、保護者の負担について しっかりと考えている学生は沢山いる。
この不況も影響して「記念受験」のようなことも減少しているし、
家計まで考えて確実に合格を決めようとする学生が増加しているように感じる。
「…もちろん僕だって、親には悪いなとは思ってますけど…」
と、その「仮面浪人」志望の学生は続けた。
そこで、思い出した。
そういえば、私自身も学生の頃に 彼と同じことを言っていた。
「親には申し訳ないと思っている」 と口にした。
頭の中ではよく状況を理解している …はずだった。
でも 毎日の生活のなかで、「出費」の重みが消えていたときもあった。
ろくに準備もせずに、試験に臨んだ日もあった。
くだらない理由から、大学の講義をさぼってしまった日もあった。
「もし単位が取れなかったら 留年するかも…」 なんて、簡単に言ったこともあった。
いったい、親は どんな想いで大学卒業までのお金を捻出していたのだろう。
体調が悪い日も働き続けていた親について、自分はどれだけ知っているだろう。
通帳の残高を数えては電卓を叩いていた親の姿を、どれほど知っていたというのだろう。
本当に骨の髄まで そのお金についての「感謝の念」 が染みていたかといえば、
正直に言うと、学生時代はそんなこともなかった気がする。
「学費」とは、親にとっては「将来への投資」なんていう 計算されたものではなく、
きっと言葉にできない、ある種の 「祈り」 にも似たものではなかっただろうか。
でも、そのことについて思い巡らせるようになってきたのは、
自分自身が 当時の親の歳に近づいてきたからなのかもしれない。
だから、いずれ この「仮面浪人」志望の彼にも気づく日が来ると思う。
では、保護者の気持ちで一句…
合格で 親に涙の ワケ聞くな
『パスナビ for Teachers』では、「学費」についての
旺文社教育情報センターのまとめを掲載しています。
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大学『学費』の“今と昔”
(いけまる)

