2010-10-5

【パスナビ】 パスナビも中学受験から

 
『大学受験パスナビ』の姉妹サイトとして昨年11月にオープンした
『高校受験パスナビ』が、「中学検索」機能も付いたサイトとして、
新しい一歩を踏み出しました。

10月5日から生まれ変わった
『中学受験 高校受験パスナビ』 を ぜひご覧ください!

  下のロゴをクリック!
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(みかりん)

2010-10-1

【パスナビ】 1人の心に届くまで


いきなり私事で恐縮だが、パスナビ編集部を離れることになった私には、
このスタッフブログでぜひ伝えておきたいエピソードがある。
知り合いのNさんから聞いた、50年以上前の大学受験の話である。

当時、Nさんは苦学生だったそうだ。
経済的な事情から、「どうしても現役で大学に合格したい」 と考えていた。
T大学を目指していたNさんは、ある壁にぶちあたったという。
「入試情報や過去問題が思うように手に入らない」 という現実だった。

今でこそ、受験情報誌の『螢雪時代』も簡単に手に入るし、
過去問題も世のなかに溢れているが、当時はそうではなかったそうだ。
買うタイミングを逃してしまうと、受験情報は二度と手に入らなかった。
もちろん、インターネットや携帯もない時代なので、
「パスナビで調べる」 なんてこともできなかった。

Nさんは悩んだ挙句、わざわざ東京の旺文社本社にまで足を運んだという。
「直接、旺文社へ行けば、何でも手に入るかもしれない…」
と思ったそうだ。
無茶な話だが、おそらくそこまで精神的に追い詰められていたのだろう。

 注:現在の旺文社は、注文センター等も別の場所にありますので、
    直接、本社にいらっしゃっても商品をお渡しすることはできません。


Nさんの記憶によると、当時の旺文社本社はビルではなく、
「普通の民家を改造したような建物」だったという。

Nさんに応対したのは、頼りなさそうな若い社員だったそうだ。
Nさんが事情を話すと、その社員は困った顔をした。
ほしかった本はすでに売れてしまって、会社には一冊もないという。
「では、せめてその情報が載っている原稿を見せてほしい」 とせがんだ。
すると、その若い社員にきっぱりと断られた。
無理な相談だった。

Nさんは、無鉄砲な自分の行動を後悔して、トボトボと帰ろうとした。
すると、そのNさんの背中に、先ほどの若い社員が声をかけた。

「あの…原稿は外に持ち出してはいけないことになっています。だから…」

Nさんは最初、その社員の意図がさっぱり分からなかった。
すると、その社員はNさんを再び社内に招き入れて机と椅子を用意すると、
机いっぱいに Nさんが探していた大学情報の原稿を広げた。
Nさんは時間をかけて、しっかりと目に焼きつけて記憶した。

 注:現在は社内であっても一般の方が原稿等を確認することはできません。

結局、その社員の名前も分からなかった。
その後、その「名もなき若い社員」に社内でどんな厳しい沙汰が下ったのか、
Nさんには知る由もない。
しかし、Nさんはその社員のことを今でも心から感謝しているという。

ちなみに、Nさんは現役でT大学を合格し、その後、教師になった。
教師時代は、生徒達によく『螢雪時代』を読ませていたという。

その『螢雪時代』は、まもなく80周年を迎える。
不況といわれる時代に、この雑誌には不思議な現象がある。
昨年よりも、さらに多くの高等学校などに設置されていることが分かった。
これほど長い歴史を経て、なお需要を増やしている雑誌は他に類が無い。

『大学受験パスナビ』も、来年で10周年を迎える。
その契機に、ますます機能やコンテンツが大きく進化していく予定だ。

しかし、どんなにテクノロジーが進化していくとしても
受験を機械的に処理するだけのwebサイトになってはいけない。

これからも1人の受験生の心まで大切にするパスナビでありたい。
その昔、旺文社にいたという「名もなき若い社員」のように。





(いけまる)

2010-9-22

【パスナビ】 東京・神楽坂の合格の神

「苦しいときの神だのみ」 という言葉がある。

「ふだんは神仏を信仰しない人が、苦しい時や困った時だけ神仏に祈って
助けを求めようとする」 というマイナスの意味に使われることもある。

しかし、本当はそうではないと私は思う。
これは、無宗教の私の勝手な解釈なのかもしれないが、
受験生が「神だのみ」をするときは、すべてを神仏に頼るわけではないだろう。
「頑張り」を「もう一押し」する役割を、「神だのみ」が担っているのだと思う。

受験生の合格祈願の名所として有名な「螢雪天神」は、
江戸の風情が漂うにぎやかな神楽坂にある。
表通りから少しだけ奥まった場所にある赤城神社。
螢雪天神は、その静かな一角に鎮座している。

「学問の神様」である菅原道真公を祭ったこの天神は、
その優雅なたたずまいとは裏腹に、じつは苦難の歴史を背負っている。

江戸時代中期には現在の旺文社本社ビル付近にあったが、
明治9年に赤城神社の境内に遷座した。
それから大正、昭和と時代を重ねていくうちに、
全国から足を運ぶ受験生の数がどんどん増えていったという。
戦前を知るご老人からうかがったことがある。
「昔は合格祈願といえば螢雪天神だった…」

しかし、昭和20年4月13日、戦災で全焼してしまった。
戦争が終わって、螢雪天神の復興を望む声はあったものの、
実現までこぎつけることはなかった。
そして、神楽坂から受験生の姿は消えてしまった。

「受験という苦しい時期を頑張っている学生達のために、
 心から応援するような場所を、もう一度つくりたい…」
そんな街の人達の願いを原動力にして、
平成17年、ついに螢雪天神が復興を果たした。
しかし、これで安泰かと思いきや、
今度は赤城神社本殿の建てかえなどにともなって、
螢雪天神も人目から隠れるように仮社殿へ移設された。

先日、新しく完成した本殿がついにお目見えした。
仮社殿にあった螢雪天神の神霊を新しい本殿へ還す「遷座祭」が行われた。

この祭りは、赤城神社の700年近い歴史のなかでも、
わずか3回しか行われたことがないという。
まさに歴史的な瞬間ともいえる。
螢雪の神も、これでようやく落ち着ける場所を手に入れたのかもしれない。
また神楽坂にも、受験生達の活気が徐々に戻ってくるだろう。

受験シーズンには、全国の有力書店でも「螢雪天神」が設置される。
そこに奉納された絵馬は、すべて神楽坂のこの天神に奉納されている。
大学でも「螢雪天神」を設置するところがある。
たとえば昨年は、豊橋創造大学で大々的に設置された。
                 ▼
       大学内に設置された螢雪天神の様子


うれしいのは「神だのみ」の効きめだけでなく、
受験生を応援する気持ちの輪が、今、再び ひろがっていることである。


螢雪天神本殿遷座祭の様子は…、写真をクリック!
         ▼



 螢雪天神





 (いけまる)

2010-9-14

【パスナビ】 実るほど…

  
実るほど頭を垂れる稲穂かな

「キムタツ先生」こと灘中学校・高等学校の木村達哉先生が
『螢雪時代』でのメッセージで取り上げたことわざである。

もともとは、「学や徳を重ねた人ほど謙虚になっていく」 という意味である。
稲穂は実れば実るほど、その重みで穂先が垂れていく。
それを人に例えて、成功したときこそ周囲に頭を下げる謙虚さと
感謝の気持ちが必要だという戒めの言葉にもなっている。

しかし、それは常に過去を振り返って気づくものかもしれない。
若い頃の自分はなんて生意気だったのだろう、と今になって赤面したりする。
できることなら、タイムマシンで一人一人に頭を下げに行きたいくらいである。
…などと言いつつも、そういう今でも、自分の傲慢さに後から気づくことが多い。
たいていの場合、自分の傲慢さに気づいた頃には「あとの祭り」だったりする。
そして、いろいろな人に恥を振りまいては日々反省を繰り返す。
「相手変われど主変わらず」といったところだろうか。
「頭を垂れる稲穂」になるのは、歳を重ねても簡単なことではないらしい。

キムタツ先生の場合は、全く違う視点からこのことわざを解釈している。
うまくいったと思ったときほど、足下の弱点を見直すべし
という意味に変えて、このことわざを解説している。

たとえば模試でいい判定をとったとき、
喜んで終わってしまう人は、最終的に「実らない」という。
間違えた部分や基本事項をもう一度じっくりと見直して、
自分の弱点をつぶしておくことが何よりも重要だと説いている。
本番の入試で「実る」のは、こうして「頭を垂れた」人だという。
いわば、「勝ってかぶとの緒を締めよ」 ということだろうか。

入試の後にガックリと下を向くことのないよう、
今のうちにしっかりと頭を垂れておこう!



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キムタツ先生のガツンとくるメッセージも掲載しています。
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 (いけまる)

2010-9-8

【パスナビ】 福祉学がビジネスをつくる時代

2006年にノーベル平和賞を受賞した、バングラデシュのグラミン銀行。

それは、それまでの「ビジネス」に対する考え方を180度変えた。
「ビジネス」とは「お金を儲けるだけのもの」と考える人は多いだろう。
人は生きるためにお金を稼ぐ。 だから働く。
お金を儲けること自体は間違っていることではない。
しかし、とかく「社会福祉」の対極にあるものだと思われやすい。
グラミン銀行は、この「ビジネス」と「福祉」を結びつけた成功例だといわれている。

それまでバングラデシュの貧しい農民達はわずかな食料を買うために、
年率100%以上の高利貸しからお金を借りなければならなかった。
その果ては、希望のない借金地獄だった。

グラミン銀行は、そのような人達に低金利・無担保でお金を貸し付ける。
利子の総額が元本を上回ることがない。
夢のような貸付条件である。

ただし、グラミン銀行はお金を貸すときに、借り手に2つの条件を出す。

1つは、借り手は5人の互助グループを作って励ましあい、助け合うこと。
(しかしグループ内の他の人の返済義務は生じない。)
もう1つは、「16の決意」を暗唱すること。
きちんと暗唱できるまで、お金を貸さない。
この「16の決意」とは、正しい生活習慣を促したものである。

「不正をしない」「健康に気をつける」「社会活動に加わる」など、
まるで家訓のような誓いである。

これによって借り手は「決意」の言葉どおり、まず生活をあらためるようになる。
不思議なもので、覚えた「決意」の言葉は本当に体の一部になっていく。
真面目に働きだし、お互いの信頼関係も大切にするようになる。
やがて、人生に夢や希望を持つようになる。
たとえば、普通の銀行ではお金を借りる権利のなかった女性が、
グラミン銀行で借りたお金を元手に内職ビジネスを始め、
女性社長として成功する実話も生まれている。

グラミン銀行の借り手は、97%が貧しい女性。
だが、その返済率は驚くほど高い。
グラミン銀行全体で80億ドルを超える取引がある2009年現在でも、
97%以上がしっかり返済されているという。
この結果は、「ビジネス」と「社会福祉」が両立できることを証明した。

「福祉」とは、国や自治体だけが考えるものではない。
今後の社会では、企業も「お金を儲ける」だけでなく、
「社会に貢献する」という役割もしっかりと担っていかなくてはならない。

関西学院大学の芝野松次郎教授は、
これから福祉の道を目指す人には、資格取得だけでなく、
なぜその道を志すのか、自分に何ができるかを考える力と
実際の技術や実践力まで問われるようになる、と指摘している。

いわば、これからの「福祉学」は
新しいビジネスや社会構造をつくる学問でもあるのかもしれない。



関西学院大学 人間福祉学部長 芝野松次郎先生が
人間福祉学について、パスナビで語っています。
ぜひお読みください。
   ▼
人間福祉学部の魅力って何?





(いけまる)

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