2009-4-22

【パスナビ】幻の世界記録

こんにちは。カッキーです。


私は大学でスポーツバイオメカニクス(運動力学)
を専攻していたので、今日は少しそちらの方面から。


先日、日本陸上連盟に勤めている友人と
北京オリンピックで
100mを世界新記録で制した
ウサイン・ボルト選手のレースが話題にあがりました。

彼がラストの何mかを明らかに余裕を持って走り抜けて
驚異的な世界新記録9.69秒を叩き出したことを
皆さんも鮮烈に覚えているかと思います。
彼のコーチは
「ボルトは9.52秒は出せる」
と話していましたが、実際
彼があのレースを全力で走りきっていたら何秒が出たのでしょうか。


そこで2点ほど。


①本当に彼はパフォーマンスによって減速していたのだろうか。
②では、減速していなかったら何秒が出ていたのだろうか。


まずは①

これが彼の北京でレースの詳細です。

通過地点(m)  タイム(s)   10mの平均速度(m/s)

   10        1.85          5.40   
   20        2.87          9.80
   30        3.78          10.98
   40        4.65          11.49
   50        5.50          11.76
   60        6.32          12.19
   70        7.14          12.19
   80        7.96          12.19
   90        8.79          12.04
   100       9.69          11.11


これを見ると最後10mを減速してるのは明らかですね。

100m走というのは、最後まで最高速度で走れそうな気がしますが
「80~100mは1~5%程減速してしまう」
という事が研究でわかっています。

しかし、この場合は最高速度と比べて
100-(11.11÷12.19)×100=8.85%
も失速してしまっています。
これは世界のトップ選手ではほぼ有り得ないことです。

よって、彼はこのレースに関しては
例のパフォーマンス(世紀の欽ちゃん走り)
をすることで減速したということが分かります。


つぎに②


「100m走は60~80m地点に最高速度地点がある」
ということも現在の研究では周知の事実です。

80mより早い地点からパフォーマンスを始めていれば
更に高い最高速度があったかもしれないということになりますが
実際に走っている動画などを見て確認すると
およそスタートから8.1秒後、つまり80mを過ぎてから
パフォーマンスを始めています。
なので、彼はこのレースでは
彼の持つ最高速度までは達したと考えて良いでしょう。

そうすると、余計に減速した部分のみが問題となります

彼がもともと200m、400mの選手であり
かつ200mを得意として戦ってきたということを考慮して
まったく失速が無く駆け抜けられたと仮定すると

9.60秒

現実的に他の選手と同様にラスト10mを5%減速したとすると

9.65秒

というのが、彼が北京で出せたかもしれない
幻の世界記録ということになります。

いずれにしろ驚異的な記録であることは変わりなく
今後のレースも期待してしまいますね。


大学に行くと、このように、自分が興味のある分野の
細かな資料がたくさん手に入ります。
色んな知識、視点を持った教授や院生の方などがいらっしゃいます。

卒業してもこのように色々な情報が耳に入ってきます。


とっても楽しいですよね。


(byカッキー)


     

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