2010-6-29

【パスナビ】今後の推薦・AO入試で問われること


大学入学者の40%以上が一般入試以外で入学する時代に入っている。

文部科学省の集計によると、2009年度の選抜方式ごとの大学入学者の割合は、
一般入試が55.5%、推薦入試が35.4%、AO入試が8.4%だった。
推薦入試やAO入試は、今や一般入試と並んで重要な「受験の山」である。

もともと推薦入試は、意欲のある優秀な学生を早めに囲い込むことを目的に作られた。
AO入試も、推薦入試と同様の目的で作られたものである。
1990年に慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスで全国に先駆けて実施された。
受験生の多様な能力や個性を評価できるという点が評価されて、年々拡大してきた。
「ゆとり教育」の影響もあり、「学力検査」を避ける傾向が一時的に高まったことも、
この追い風になったと考えられる。
AO入試の実施校はこの10年間で急増した。
2010年度は国公立大学で約42%、私立大学で約81%が実施するに至った。

しかし、推薦・AO入試については、今まで課題も指摘されてきた。
たとえば、入学者の基礎学力不足である。
一般入試の入学者との「学力格差」が大学の現場から聞かれるようになっていた。
また18歳人口の減少に伴う大学どうしの定員確保のための競争激化で、
AO入試の選考実施時期の過度の早期化も指摘されるようになっていた。

文部科学省が全大学に通知した『平成23年度大学入学者選抜実施要項』によると、
2011年から推薦・AO入試の規定が大きく変更される。
また、この規定変更を受けて大学側でも早急に対応を実施していくとみられる。
主なポイントは、以下のとおりである。

1.「基礎学力」重視への変換
 要項では、各大学に「学力に重要な要素(基礎的・基本的な知識、思考力・判断力・表現力等、学習意欲)」の把握を求め、高校で履修すべき科目などの募集要項への明記を求めている。
 つまり、基礎学力を把握するため、「各大学の検査(筆記、実技、面接等)」「センター試験の成績」「資格・検定試験等の成績」「高校の教科の評定平均値」の少なくとも1つを出願要件や合否判定に用いるべきとしているのである。
 大学側がこれまでの「学力検査免除」の路線から「基礎学力重視」の路線へ、180度、方針転換を図ることが予測される。調査書や面接の点数化など、判定基準を明確にする大学も今後増えていくだろう。 しっかりした基礎学力をつけておくことが条件となる。

2.AO入試の「出願開始時期」に変化の可能性
 要項では、AO入試の入学願書受付の開始を「平成22年8月1日以降」とされている。ちなみに、これまでは開始時期の制限はとくになかった。但し、この開始制限は受験料が発生しないエントリーについては言及されていない。したがって、AO入試のスタート時期が全体的に繰り下がるとは考えにくい。
 しかし、夏休み前から募集を開始していた早期実施校の一部でエントリーや出願の期間を繰り下げることが予測される。

3.資格・検定の成績や学校生活に関する評価の重視へ
 要項では、資格・検定の成績や部活動の実績などを具体的に記載できるよう、調査書の記入欄を改変することを求めている。
 つまり、学校生活や部活なども真面目に一生懸命やってきたか、英検や漢検などの資格や検定で他の人と差をつけているか、自分の能力をしっかり伸ばしているか、といった点が評価にさらに大きく関係してくるとみられる。


入学者の基礎学力の確保が各大学にとっての命題になった今、
もはや推薦・AO入試は「学力での勝負を避けるもの」ではない。
むしろ、学力とともに資格や他の能力が問われることも多くなるだろう。

これからの推薦・AO入試で問われるのは、
基礎学力も含めて 「常に自分を磨いている学生かどうか」 なのかもしれない。


『大学受験パスナビ』の「パスナビ for Teachers」では、
2011年度の推薦・AO入試の変更点が掲載されています。
ご参照ください。
    ▼

「特集 2011年度の推薦・AO入試はここが変わる!」


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 (いけまる)


2010-6-21

【パスナビ】 オーキャンへ行く意義はあるか


「オープンキャンパスに行く意味って、本当にあるんでしょうか?」

この類のご質問を立て続けに受験生の方々からいただいて、
あらためてオープンキャンパスの意義を考えることにした。

たしかに志望する大学が自宅から遠い場合は、
受験生にとって時間的にも経済的にも負担が大きい。
わざわざ交通費をかけてまで、場合によっては宿泊費まで捻出して、
キャンパスを見たりイベントに参加したりする価値は本当にあるのだろうか?
大学に関する情報データなら、現場に行かなくても手に入る。

受験生の立場になって考えれば考えるほど「難問」であることに気づいた。

螢雪時代編集部による大学合格者へのアンケート調査によると、
夏休み中にオープンキャンパスに行った人の割合は約52%だったそうだ。
つまり、オープンキャンパスに行く人と行かない人の割合は、ほぼ半々である。
統計だけでは、ますます判断に迷いそうだ。

個人的な昔話で恐縮だが、私自身が大学受験の頃は
「オープンキャンパス」という言葉が現在のように確立していなかった。
ましてや短縮形での「オーキャン」だの「OC」だのという言葉もなかった。
また携帯電話やインターネットもない時代だったので、
情報はほとんど自分で本や冊子で調べるしかなかった。
ちなみに私の友人は、まさに『螢雪時代』だけで志望校を決めていた。
そんな折に、地方に住んでいた私は、夏休みに志望大学を訪ねてみた。
最初に足を運んだ大学は、思い描いていたイメージと全然違っていた。
いつも写真で憧れていた中庭はじつは手入れも行き届いておらず、
構内は殺伐としていて、誰に何を訊いても応対が冷たい感じがした。
大学とは こんなに味気ない場所なのかと思った。

しかし、次に足を運んだ大学は、逆の意味でイメージと違っていた。
大きなキャンパスではなかったが、アットホームだった。
学生達はオシャレではなかったが、飾り気がなくて活気に溢れていた。
芝生で休んでいた学生に恐る恐る学食の場所を訊いてみると、
笑顔で教えてくれたついでに、大学内をいろいろと案内してくれた。
この学食で食べて、あのグラウンドを走って、
この図書館で勉強して、下宿するならあの辺りで…。
自分自身の学生生活を想像したら夢がひろがって、
勉強に対する気持ちが大きく変わったのを感じた。

『大学受験パスナビ』携帯版の「悩み相談室」で
数多くの受験生のご質問に答えているサブロー先生によると、
オープンキャンパスの意義は「先輩大学生と会って話すこと」だという。
「大学の学舎を見ること」や「職員の方と話すこと」よりも
「先輩大学生…」を真っ先に挙げられたのは意外だった。
大学の職員や教授からではなく先輩からの話を重視するのは、
おそらくその大学に関する本音が垣間見られるからだろう。

オープンキャンパスでは、ほとんどの場合、ボランティアの大学生達が沢山いる。
今では、大学によってはこのボランティアになるのも大変な競争率だという。
先輩達からすれば、後輩達からの質問は嬉しいものである。
たとえ大学の良いことしか言わないように先輩が構えていたとしても、
後輩達に真剣に訊かれたら正直に答えてしまうのが人情である。

では、どんなことを先輩に尋ねればよいのだろうか?
サブロー先生はここで10のチェック項目を挙げている。

1.入試関連の確認
  (たとえば、入試の思い出話などからでも状況が分かる。)
2.学部・学科の内容確認
  (たとえば、講義はどんな感じで何を学べるか…など。)
3.資格取得
  (たとえば、資格のための特別講座はあるか…など。)
4.学内の施設・設備
  (たとえば、学食のメニューの話からもキャンパスライフが分かる。)
5.学生生活の確認
  (たとえば、サークル活動から学生生活が分かる。)
6.就職状況の確認
  (たとえば、卒業生の就職先や就活はどんな状況か…など。)
7.大学院への進学状況
  (たとえば、大学院への進学を考えている人はこのときに情報を仕入れておこう。)
8.交通アクセスの確認
  (たとえば、最も安くて早い交通経路を教えてもらおう。)
9.奨学金制度の確認
  (たとえば、学内のお得な奨学金制度はあるか…など。)
10.その他
  (たとえば、訊きにくいかもしれないが退学率の状況…など。)

これらの項目から自分で優先順位を決めて、
質問できることから気軽に質問していけばいい。
ついでに先輩の勉強方法なんかも、訊けたら訊いてしまおう。
つまり、入試案内やデータだけでは分からない情報も
オープンキャンパスだからこそ仕入れることができる。

大学は入学するだけの場所ではない。
実際に学生生活を送る場所である。
未来のキャンパスライフが輝くものになるかどうか、
自分自身の目で、耳で、肌で、実際に感じることで分かるだろう。
志望大学を一度でも見ておく価値は、きっとあると思う。
「この大学に来たい!」と強く思った人のほうが、断然、学力も伸びるだろうから。


『大学受験パスナビ』でオープンキャンパスを検索してみよう!
    ▼
「オープンキャンパス特集」





(いけまる)

2010-6-14

【パスナビ】 奨学金のルール


大学進学に必要なものは「学力」だけではありません。
露骨な表現ではありますが、「お金」も必要になってきます。
入学金、授業料、施設設備費、そして下宿の場合は住居費、…などなど、
入学前から卒業までいろいろとお金はかかります。

文部科学省の調査によると、大学の初年度納入金は、国立大学で約82万円、
私立大学の平均が文系学部で約123万円、理系学部で約165万円となっています。
また医学部や歯学部ともなると、約900万円に跳ね上がることもあります。
それに対し、アメリカの州立大学で約57万円、イギリスの国立大学で約67万円、
ドイツの州立大学で約21万円、フランスの国立大学で約2万円、などとなっていて、
各国の社会構造の違いもありますから一概には比較できないものの、
日本の大学の学費が世界のなかでもわりと高額だという印象は否めません。

また長引く不況は、この経済的負担から受験生の進路にも影響を与えています。
例えば、受験生の志望の変化にも経済的理由が潜んでいます。
難関大学から中堅大学へ志願者が流れた2010年入試の出願傾向についても、
以前にこのスタッフブログでも取り上げました。【パスナビ】「譲れない一線」
「できるだけ浪人せずに、なるべく安い学費で、早く大学を卒業したい」
という考え方から大学を選ぶ受験生が増えていることを示しています。
また全国大学生協連の調査によると、仕送り「0円」で生活している下宿生も、
この40年間で初めて下宿生全体の10%を超えました。

このようなご時世において、「奨学金制度」はますます重要度を増しています。
日本学生支援機構の発表によると、合計で約111万人もの学生が
同機構の奨学金制度を
利用しているといいますから、
全国の学生の約3人に1人が利用していることになります。
同機構への奨学金についての全国からの問い合わせも急増しているそうです。
不況になる前と比較すると倍以上の問い合わせ件数があり、
月平均ですでに30万件を超えているといいます。
約3万人の無利子の奨学金の定員に対して、
その応募希望者は約14万人もいたそうです。
受験生にとって奨学金制度は今や必要不可欠な存在であり、
ますます拡充させていくべきだと思います。

しかし、ここで一つ懸念があります。
奨学金滞納者の存在です。
返還義務のない給付タイプの奨学金でないかぎり、奨学金は「貸与」です。
当然ながら、借りたお金は返還する義務があります。
ところが悲しい事実ですが、返還を延滞する人も増加傾向にあるといいます。

もし、経済的な理由で返済が困難な場合は、
その奨学金の窓口に相談すれば解決されることも多いそうです。
たとえば、返済がしばらく猶予される制度もあります。

ところが、何の連絡もなく延滞が数か月続いた場合は、
「ブラックリスト」と呼ばれる滞納者リストに入れられるそうです。
ブラックリストは各金融機関などと情報共有されていて、
将来的にカードやローンの利用ができなくなるなど、
社会生活にも支障をきたすことにもなるようです。
人生にとって大きな代償を払うことになりかねません。

しかし、だから仕方なく返済するというのは根本的に違う気がします。
奨学金の原資は、先輩達が頑張って返還してきたお金なのです。
先輩達の感謝や汗が詰まったお金で大学に行くことができたなら、
その感謝の気持ちとともに後輩達に繋げていくことが重要だと思います。
自分だけよければいいという考え方からはそもそも奨学金制度は成り立ちませんし、
一人のルール違反によって多くの後輩達の未来を潰すことにもなります。

奨学生とは、社会で活躍することによって後輩達の希望となり、
返還するそのお金によって次の後輩達を育てる存在です。
いわば、後輩達の目標そのものでもあると思うのです。

だからこそ奨学生の方々には、
ルールを守る芯の強さとプライドを持ち続けてほしいと、
応援する気持ちをこめて そう願います。


『螢雪時代7月号』では、
「志望校選定に欠かせないお金の話」を特集しています。
「学費・生活費・奨学金マニュアル」を熟読して、
お金についての不安を解消しておきましょう!

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 ( ツ )

2010-6-7

【パスナビ】「チーム医療」の時代


日常生活のなかではそれほど意識していなかったのに、
身内などがお世話になって初めてその価値に気づく。
いざとなると、生きていく上で必要不可欠なもの。
医療とは、まさに人間にとって酸素のような存在だと思う。

日々粛々と業務が遂行されている医療現場。
その現場の方々の仕事ぶりを拝見して気がついたことがある。
各自の役割や行動は、驚くほど細かいところまで仕組み化されている。
おそらく病院によって度合いは違うと思うが、
それぞれの人の動きは合理的でありながら事務的ではない。
たとえば、分刻みのスケジュールで時間に追われながら飛び回っているなかで、
弱気になっている患者の手をさすりながら話しかけている看護師を見た。
そこには、マニュアルだけにとどまらない専門家としての姿があった。
医療現場の主人公は医師だけではない。

「チーム医療」という考え方が、近年になってますます重要視されてきている。

かつての医療現場では、医師が絶対的な存在だった。
そのような環境では、それ以外の医療スタッフが主体性を発揮できない。
最も効率的な医療環境を追求していくなかで、「チーム医療」という医療モデルは生まれた。
医師とその他の医療従事者の関係を 主従関係ではなく水平にすることによって、
お互いが対等な立場で行動できる環境にするという考え方である。

自治医科大学看護学部長の水戸美津子教授は、「チーム医療」についてこう説明されている。
「決して看護師など医療専門職の地位の向上だけを目指したものではありません。
 たとえば病院においては、患者さんの栄養状態が悪ければ管理栄養士が、
 リハビリの段階ならば理学療法士や作業療法士が、
 薬物治療がうまくいかなければ薬剤師が、
 それぞれリーダーシップを発揮して助け合うのが本来のチーム医療です…」

つまり、チームの中心には常に患者がいて、
医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、薬剤師、…など
治療に携わるすべてのスタッフが患者を取り囲むように情報を共有し、
それぞれが主体的に専門性を発揮できるようにするということである。

また、この場合の情報共有とは、医師とそれ以外の医療スタッフの壁を取っ払うだけではない。
医局どうしの壁をなくすことも含まれる。
たとえば、内科と外科が情報を共有することによって、
患者にとってさらに効果的な治療が実現できる可能性もある。

世界からみると、日本は「チーム医療」の浸透が比較的遅いという印象があった。
もともと医師の力量にすべてを任せる文化があったのかもしれない。
しかし、がん治療などの先進的な分野では「チーム医療」が すでに現場で実践されつつある。

日本の医療環境は、これから大きく変わっていくと予測される。
医学や看護学を目指す人達に向けて、もう一度だけ繰り返し伝えておきたい。

これからの医療現場では、治療に関わる一人一人が主人公となる。



自治医科大学看護学部長・水戸美津子教授のお話はパスナビで読もう!
     ▼
 「看護学部の魅力って何?」

川崎医療福祉大学岡田喜篤学長のアドバイスもパスナビで読もう!
     ▼
 「医療・保健系学部の魅力って何?」

◆看護・医療・保健学部についての詳細もパスナビで読もう!
     ▼
 「看護・医療・保健学部で何を学ぶ?」




 (いけまる)

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