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【パスナビ】歯学について考える

これほど医師不足が叫ばれている現代において、
歯科医師については供給過剰だとメディアで取り上げられている。

歯科どうしの競争激化で、歯科医師の収入も減少しているという。
「歯医者さんは高収入」という従来のイメージが崩壊しつつある。
また歯科医師国家試験の合格率は年々低下し、
大学受験においては、歯学部志願者数の減少も止まらない。

この状況だけを見ると「日本の歯学に未来はあるのか?」 と
不安に感じる方もいるかもしれない。
しかし、この動向を表層的に捉えて判断するのは危険だと思う。

東京医科歯科大学の歯学部長である田上順次教授の話によると、
「歯に出る症状が他の全身の病気に由来する」 という。
虫歯や口内炎が、体の異常を知らせるサインになっていることもある。
糖尿病の発症に深く関係していることも分かってきている。
口内細菌が体内に落ちることで、死に至る場合もあるという。
たとえば、肺炎もその一つである。

だいぶ前に、戦争に行ったことがあるというご老人からこんな話を聞いたことがある。
戦場で兵士達を苦しめていたのは、意外にも歯のトラブルが多かったそうだ。
放置された虫歯や歯周病の激痛は、思考力や判断力を失わせる。
やがて 物をまともに食べられなくなり、体の抵抗力が落ちていく。
そして 感染症や敗血症を引き起こして、死に至ることも多かったようだ。

「虫歯なんかで死ぬことはありえない」 と考える人も多いかもしれないが、
それは現代の医療技術が身近にあっての話だ。
縄文時代には、メジャーな死因の一つに虫歯があったという説もある。

口の中の問題は 命に関わる。
歯科医療は、人間にとって重要な存在なのである。

歯科医師が供給過剰だと判断するのも、時期尚早かもしれない。
長期的にみると、歯科医師はもっと必要になると考えられる。
日本の歯科医療は単なる虫歯の治療だけでなく、予防歯科や歯周病ケアなどにも及ぶ。
海外に比べて医療の質も高く、一人あたりの診療時間も長い。
また今後の高齢化社会において、
歯に関する治療はますます需要が高まると予測される。

また、国家試験の合格率が低いということは、
簡単には歯科医師になれないことを意味している。
つまり、国家試験が医療の質の維持に貢献している証拠でもあるのではないか。

そして、歯学部の志願者数の減少については、
裏を返せば志願者の質が変化してきた証拠ではないだろうか。
今まで「高収入」の魅力に惹かれて歯科医師を目指していた学生が減り、
純粋に歯科医療に携わりたい学生が歯学部を目指すようになってきている。
そう考えることもできるのではないだろうか。

将来の歯科医療は、おそらく「歯」だけの話にとどまらないだろう。
他の様々な学問と連携しながら、人間の健康そのものについて
考えていかなくてはならない。
また今後、医療の発展が期待されるアジア諸国などを牽引するような
先進的な研究も日本に求められていくことが考えられる。

歯学は、今が大きなチャンスだと思う。
歯科大学や歯学部を目指す方々は、
プライドを持って将来の社会で活躍していただきたいと願う。

東京医科歯科大学・田上順次教授のお話はこちらをクリック!
     ▼
歯学部の魅力って何?







(いけまる)

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