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【パスナビ】 福祉学がビジネスをつくる時代

2006年にノーベル平和賞を受賞した、バングラデシュのグラミン銀行。

それは、それまでの「ビジネス」に対する考え方を180度変えた。
「ビジネス」とは「お金を儲けるだけのもの」と考える人は多いだろう。
人は生きるためにお金を稼ぐ。 だから働く。
お金を儲けること自体は間違っていることではない。
しかし、とかく「社会福祉」の対極にあるものだと思われやすい。
グラミン銀行は、この「ビジネス」と「福祉」を結びつけた成功例だといわれている。

それまでバングラデシュの貧しい農民達はわずかな食料を買うために、
年率100%以上の高利貸しからお金を借りなければならなかった。
その果ては、希望のない借金地獄だった。

グラミン銀行は、そのような人達に低金利・無担保でお金を貸し付ける。
利子の総額が元本を上回ることがない。
夢のような貸付条件である。

ただし、グラミン銀行はお金を貸すときに、借り手に2つの条件を出す。

1つは、借り手は5人の互助グループを作って励ましあい、助け合うこと。
(しかしグループ内の他の人の返済義務は生じない。)
もう1つは、「16の決意」を暗唱すること。
きちんと暗唱できるまで、お金を貸さない。
この「16の決意」とは、正しい生活習慣を促したものである。

「不正をしない」「健康に気をつける」「社会活動に加わる」など、
まるで家訓のような誓いである。

これによって借り手は「決意」の言葉どおり、まず生活をあらためるようになる。
不思議なもので、覚えた「決意」の言葉は本当に体の一部になっていく。
真面目に働きだし、お互いの信頼関係も大切にするようになる。
やがて、人生に夢や希望を持つようになる。
たとえば、普通の銀行ではお金を借りる権利のなかった女性が、
グラミン銀行で借りたお金を元手に内職ビジネスを始め、
女性社長として成功する実話も生まれている。

グラミン銀行の借り手は、97%が貧しい女性。
だが、その返済率は驚くほど高い。
グラミン銀行全体で80億ドルを超える取引がある2009年現在でも、
97%以上がしっかり返済されているという。
この結果は、「ビジネス」と「社会福祉」が両立できることを証明した。

「福祉」とは、国や自治体だけが考えるものではない。
今後の社会では、企業も「お金を儲ける」だけでなく、
「社会に貢献する」という役割もしっかりと担っていかなくてはならない。

関西学院大学の芝野松次郎教授は、
これから福祉の道を目指す人には、資格取得だけでなく、
なぜその道を志すのか、自分に何ができるかを考える力と
実際の技術や実践力まで問われるようになる、と指摘している。

いわば、これからの「福祉学」は
新しいビジネスや社会構造をつくる学問でもあるのかもしれない。



関西学院大学 人間福祉学部長 芝野松次郎先生が
人間福祉学について、パスナビで語っています。
ぜひお読みください。
   ▼
人間福祉学部の魅力って何?





(いけまる)

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