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【パスナビ】 東京・神楽坂の合格の神

「苦しいときの神だのみ」 という言葉がある。

「ふだんは神仏を信仰しない人が、苦しい時や困った時だけ神仏に祈って
助けを求めようとする」 というマイナスの意味に使われることもある。

しかし、本当はそうではないと私は思う。
これは、無宗教の私の勝手な解釈なのかもしれないが、
受験生が「神だのみ」をするときは、すべてを神仏に頼るわけではないだろう。
「頑張り」を「もう一押し」する役割を、「神だのみ」が担っているのだと思う。

受験生の合格祈願の名所として有名な「螢雪天神」は、
江戸の風情が漂うにぎやかな神楽坂にある。
表通りから少しだけ奥まった場所にある赤城神社。
螢雪天神は、その静かな一角に鎮座している。

「学問の神様」である菅原道真公を祭ったこの天神は、
その優雅なたたずまいとは裏腹に、じつは苦難の歴史を背負っている。

江戸時代中期には現在の旺文社本社ビル付近にあったが、
明治9年に赤城神社の境内に遷座した。
それから大正、昭和と時代を重ねていくうちに、
全国から足を運ぶ受験生の数がどんどん増えていったという。
戦前を知るご老人からうかがったことがある。
「昔は合格祈願といえば螢雪天神だった…」

しかし、昭和20年4月13日、戦災で全焼してしまった。
戦争が終わって、螢雪天神の復興を望む声はあったものの、
実現までこぎつけることはなかった。
そして、神楽坂から受験生の姿は消えてしまった。

「受験という苦しい時期を頑張っている学生達のために、
 心から応援するような場所を、もう一度つくりたい…」
そんな街の人達の願いを原動力にして、
平成17年、ついに螢雪天神が復興を果たした。
しかし、これで安泰かと思いきや、
今度は赤城神社本殿の建てかえなどにともなって、
螢雪天神も人目から隠れるように仮社殿へ移設された。

先日、新しく完成した本殿がついにお目見えした。
仮社殿にあった螢雪天神の神霊を新しい本殿へ還す「遷座祭」が行われた。

この祭りは、赤城神社の700年近い歴史のなかでも、
わずか3回しか行われたことがないという。
まさに歴史的な瞬間ともいえる。
螢雪の神も、これでようやく落ち着ける場所を手に入れたのかもしれない。
また神楽坂にも、受験生達の活気が徐々に戻ってくるだろう。

受験シーズンには、全国の有力書店でも「螢雪天神」が設置される。
そこに奉納された絵馬は、すべて神楽坂のこの天神に奉納されている。
大学でも「螢雪天神」を設置するところがある。
たとえば昨年は、豊橋創造大学で大々的に設置された。
                 ▼
       大学内に設置された螢雪天神の様子


うれしいのは「神だのみ」の効きめだけでなく、
受験生を応援する気持ちの輪が、今、再び ひろがっていることである。


螢雪天神本殿遷座祭の様子は…、写真をクリック!
         ▼



 螢雪天神





 (いけまる)

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