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2010-10-1

【パスナビ】 1人の心に届くまで


いきなり私事で恐縮だが、パスナビ編集部を離れることになった私には、
このスタッフブログでぜひ伝えておきたいエピソードがある。
知り合いのNさんから聞いた、50年以上前の大学受験の話である。

当時、Nさんは苦学生だったそうだ。
経済的な事情から、「どうしても現役で大学に合格したい」 と考えていた。
T大学を目指していたNさんは、ある壁にぶちあたったという。
「入試情報や過去問題が思うように手に入らない」 という現実だった。

今でこそ、受験情報誌の『螢雪時代』も簡単に手に入るし、
過去問題も世のなかに溢れているが、当時はそうではなかったそうだ。
買うタイミングを逃してしまうと、受験情報は二度と手に入らなかった。
もちろん、インターネットや携帯もない時代なので、
「パスナビで調べる」 なんてこともできなかった。

Nさんは悩んだ挙句、わざわざ東京の旺文社本社にまで足を運んだという。
「直接、旺文社へ行けば、何でも手に入るかもしれない…」
と思ったそうだ。
無茶な話だが、おそらくそこまで精神的に追い詰められていたのだろう。

 注:現在の旺文社は、注文センター等も別の場所にありますので、
    直接、本社にいらっしゃっても商品をお渡しすることはできません。


Nさんの記憶によると、当時の旺文社本社はビルではなく、
「普通の民家を改造したような建物」だったという。

Nさんに応対したのは、頼りなさそうな若い社員だったそうだ。
Nさんが事情を話すと、その社員は困った顔をした。
ほしかった本はすでに売れてしまって、会社には一冊もないという。
「では、せめてその情報が載っている原稿を見せてほしい」 とせがんだ。
すると、その若い社員にきっぱりと断られた。
無理な相談だった。

Nさんは、無鉄砲な自分の行動を後悔して、トボトボと帰ろうとした。
すると、そのNさんの背中に、先ほどの若い社員が声をかけた。

「あの…原稿は外に持ち出してはいけないことになっています。だから…」

Nさんは最初、その社員の意図がさっぱり分からなかった。
すると、その社員はNさんを再び社内に招き入れて机と椅子を用意すると、
机いっぱいに Nさんが探していた大学情報の原稿を広げた。
Nさんは時間をかけて、しっかりと目に焼きつけて記憶した。

 注:現在は社内であっても一般の方が原稿等を確認することはできません。

結局、その社員の名前も分からなかった。
その後、その「名もなき若い社員」に社内でどんな厳しい沙汰が下ったのか、
Nさんには知る由もない。
しかし、Nさんはその社員のことを今でも心から感謝しているという。

ちなみに、Nさんは現役でT大学を合格し、その後、教師になった。
教師時代は、生徒達によく『螢雪時代』を読ませていたという。

その『螢雪時代』は、まもなく80周年を迎える。
不況といわれる時代に、この雑誌には不思議な現象がある。
昨年よりも、さらに多くの高等学校などに設置されていることが分かった。
これほど長い歴史を経て、なお需要を増やしている雑誌は他に類が無い。

『大学受験パスナビ』も、来年で10周年を迎える。
その契機に、ますます機能やコンテンツが大きく進化していく予定だ。

しかし、どんなにテクノロジーが進化していくとしても
受験を機械的に処理するだけのwebサイトになってはいけない。

これからも1人の受験生の心まで大切にするパスナビでありたい。
その昔、旺文社にいたという「名もなき若い社員」のように。





(いけまる)

2010-9-14

【パスナビ】 実るほど…

  
実るほど頭を垂れる稲穂かな

「キムタツ先生」こと灘中学校・高等学校の木村達哉先生が
『螢雪時代』でのメッセージで取り上げたことわざである。

もともとは、「学や徳を重ねた人ほど謙虚になっていく」 という意味である。
稲穂は実れば実るほど、その重みで穂先が垂れていく。
それを人に例えて、成功したときこそ周囲に頭を下げる謙虚さと
感謝の気持ちが必要だという戒めの言葉にもなっている。

しかし、それは常に過去を振り返って気づくものかもしれない。
若い頃の自分はなんて生意気だったのだろう、と今になって赤面したりする。
できることなら、タイムマシンで一人一人に頭を下げに行きたいくらいである。
…などと言いつつも、そういう今でも、自分の傲慢さに後から気づくことが多い。
たいていの場合、自分の傲慢さに気づいた頃には「あとの祭り」だったりする。
そして、いろいろな人に恥を振りまいては日々反省を繰り返す。
「相手変われど主変わらず」といったところだろうか。
「頭を垂れる稲穂」になるのは、歳を重ねても簡単なことではないらしい。

キムタツ先生の場合は、全く違う視点からこのことわざを解釈している。
うまくいったと思ったときほど、足下の弱点を見直すべし
という意味に変えて、このことわざを解説している。

たとえば模試でいい判定をとったとき、
喜んで終わってしまう人は、最終的に「実らない」という。
間違えた部分や基本事項をもう一度じっくりと見直して、
自分の弱点をつぶしておくことが何よりも重要だと説いている。
本番の入試で「実る」のは、こうして「頭を垂れた」人だという。
いわば、「勝ってかぶとの緒を締めよ」 ということだろうか。

入試の後にガックリと下を向くことのないよう、
今のうちにしっかりと頭を垂れておこう!



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 (いけまる)

2010-8-30

【パスナビ】 自分の言葉で受験しよう!

今や大学入学者の5人に2人以上が、推薦・AO入試での入学者である。
推薦・AO入試を実施する大学・学部は、年々増加傾向にある。
一般入試と並んでメジャーな入試形態だといっても過言ではない。
それに伴って、小論文対策や面接対策も重要度が増している。

しかし、大学の入試関係者のお話では、
「推薦・AOの面接はもういらない」という声も現場にあるという。
それは時代を逆行するようなご発言ではないか、と不思議に感じた。
じつは、「その責任は旺文社にもある」 という。

旺文社の『螢雪時代』や『大学受験パスナビ』でも、
推薦・AO入試の情報を惜しみなく掲載している。
当然ながら面接対策も、できるだけ多くの情報を載せるようにしている。
今までどんな質問が来たか、どんな選考基準か、どんな面接形式なのか、
面接時間はどのくらいか、どんな回答をするとよいか、…などなど。
大学ごとに過去情報や入試対策を詳しく載せている。
ありがたいことに沢山の受験生の方々がそれを読んで
本番の面接試験に臨んでいるようだ。

しかし、そこで大学側にとっては頭の痛い問題が発生しているという。
「どの受験生に質問しても、同じ回答が返ってくる」というのである。
何も準備せずに臨んで回答できない受験生は別として、
回答できる受験生は、暗記された「模範回答」が多いそうだ。
「螢雪時代」や「パスナビ」に載っていた志望理由を、
一言一句そのまま述べてきた学生もいるという。
但し、面接者の目は学生が思っている以上に鋭いことはいうまでもない。
「受験生が自分の言葉で回答していないことはすぐに見破る」という。
暗記してきた回答を受験生に棒読みで口に出される…。
面接する立場からすれば、こんなに虚しい面接はない。

大学の関係者の皆様には申し訳ないが、逆に受験生の側に立つと、
志望する大学や学部についての情報を事前に調べておくことは必須だ。
自分自身の将来が関わっているのだから、
できるだけ多くの情報を集めておいて損はない。

しかし、面接で何より大切なのは「自分の言葉で話すこと」だと思う。
「志望動機」にしろ、「将来のこと」にしろ、「誰かの真似」や「演出」では、
きっと最後までうまくはいかない。
うまくいったつもりでも、プロの面接者には必ず見破られているはずである。
滑らかな口調でなくても、緊張で震えた声でもかまわないから、
本当の「熱意」を正直に伝えたほうが、面接者のハートに伝わるはずである。
面接の準備とは、模範回答を暗記することではなく、
志望する大学・学部をできるだけ深く知っておくこと、そして、
なぜ自分がそこを目指すのかの気持ちを整理することだと思う。



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8月30日発売です。
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(いけまる)

2010-8-12

【パスナビ】今、宇宙の研究が熱い!

「なぜ、人は宇宙を目指すのか?」
これは人類の永遠のテーマなのかもしれない。

「ユニバソロジ」という言葉を、日本人宇宙飛行士で
東京工業大学大学院総合理工学研究科連携教授の
毛利衛先生からうかがったことがある。

「universe(宇宙)」と学問を意味する「-logy」から
成り立っている単語だという。
しかし、単純に「宇宙学」という意味ではない。
「宇宙学」には、もともと「cosmology」という単語がある。
しかも、この「universology」は、辞書には載っていない。
…それもそのはず。
じつは、この「ユニバソロジ」は毛利先生の造語である。

「宇宙学」を示す「cosmology」とは、
宇宙がどうやって始まったのかとか、
宇宙がどんな構造になっているのかとか
そういう様々な宇宙論を研究する学問である。

一方で、「ユニバソロジ(universology)」とは、
宇宙の視点から時間や空間のつながりを意識して、
人間が生きることを考える学問だという。

宇宙には、地球上では当たり前にある空気や重力が無い。
上下の概念さえ無い。
地上での価値観も、宇宙からみれば全く違ったものになる。
ときには「常識」が、人間の勝手な言い訳やエゴイズムであったりもする。
宇宙の視点から地球環境や人間の可能性を考えることで、
様々な問題に対する「気づき」ができるのだという。

現在、その宇宙への関心が世間でも急速に高まっている。

世界で初めて月以外の天体からサンプルを採取して
幾多のトラブルを乗り越えながら奇跡的に帰還した、
日本の小惑星探査機「はやぶさ」。
2003年に打ち上げられてからおよそ7年間、
60億kmにおよぶ長旅を成功させた日本の高い宇宙技術は
世界に驚きと感動をもって迎えられた。
そして、2010年5月には日本のH-ⅡAロケットが打ち上げられ、
今度は、金星探査機の「あかつき」や 光の圧力で進む「IKAROS」の
宇宙での活躍に大きな期待がかかっている。

日本の宇宙研究は今、歴史的な盛り上がりを見せている。
その研究分野の最前線では、日本の大学の教授や学生達が
予想以上に深く関わっている。
その一部の例を挙げると、以下のような大学の研究室がある。

 「あかつき」に搭載されたカメラの開発
   東京大学:岩上准教授

 「IKAROS」に搭載されたGAP検出器の共同開発
   金沢大学:村上敏夫教授、米徳大輔助教
   山形大学:郡司修一教授

 超小型衛星「WASEDA-SAT2」の開発
   早稲田大学:宮下朋之教授、山川宏教授

 水蒸気分布調査キューブサット「ハヤト(KSAT)」の開発
   鹿児島大学:西尾正則教授

 ※ これらの研究については、『螢雪時代9月号』の記事
    「はやぶさ、あかつき、IKAROS…いま宇宙がおもしろい!」
    をご覧ください。


今後、宇宙に関する研究はますます熱くなっていくと考えられる。
もしかすると人は、人間自身の存在が何かを知るために、
宇宙を研究し続けているのではないだろうか。
つまり、「宇宙を知りたい」と願う欲求は、
人間の根本的な知識欲のひとつなのかもしれない。


『螢雪時代9月号』は、8月12日発売です。
   ▼










 (いけまる)

2010-7-14

【パスナビ】バランス感覚

アメリカのビジネス界では、成功する要素として、
「sense of balance(バランス感覚)」 が必要だといわれているそうです。

この場合の「バランス感覚」は、様々な意味で使われます。
例えば、「メリット」と「デメリット」。
この両方を客観的に考えて判断できるか、といった感覚を指すこともあります。
あるいは、「表」と「裏」、「内部」と「外部」といった両極を指すこともあります。
いずれにしても、相反する2つのどちらにも偏ることのない感覚が 成功の秘訣だというのです。

「受験勉強でも、この 『sense of balance』 が必要だ!」
と説くのは、受験界のカリスマ的存在として『螢雪時代』の特集記事などでも
おなじみの安河内哲也先生。
勉強は「インプット」と「アウトプット」のバランスが大切だと主張されています。

この場合の「インプット」とは、頭に情報を入れること、例えば「覚える」ことを指しています。
そして「アウトプット」とは、「問題を解く」とか「考える」ことを指しています。

つまり、覚えるだけで実際に問題を解かないと、実戦力が身につかず、
実際の入試本番でうまくいかないのだそうです。
逆に、何も基礎を覚えずに問題ばかり解いていても、学力は上がらないとのこと…。
「インプット」と「アウトプット」のバランスがとれて、初めて学力に結びついていくわけですね。

それでは、どのくらいの割合が最もバランスがよいのでしょうか?

安河内先生は、『螢雪時代8月号』の対談のなかで、
「『インプット』と『アウトプット』は、3:1 ぐらいの割合がいい…」とおっしゃっています。

つまり、受験勉強では「覚える」ことに重点をおくべき、と指摘しているのです。
まず基礎を固めることに注力したほうがよい、ということですね。
大学によって割合は違うものの、入試では基礎力で解ける問題が約6割、
そして2割が基礎知識をもとに考えれば解ける応用問題だといいます。
とくに夏休みが終わるまでに、基礎力で解ける6割の部分を
しっかり確保しておくことが大事なのだそうです。
そうすることで、秋以降に応用力で解く残りの2割の部分に取り組めるわけです。
合格ラインが約7割とすると、難易度が高すぎる問題については
あえて 「解けなくても問題ない!」 と安河内先生はズバリと言ってしまっています。

ところが実際には、土台となる基礎がインプットされないうちから、
やみくもに過去問などを解きたがる受験生が多いといいます。
少しでも早く入試問題に取り組みたいという気持ちは痛いほど理解できますが、
あせらずに、過去問は基礎を固めてから研究したほうが効率的かもしれません。

ところで、「アウトプット」は「問題を解く」ことだけではありません。
ノートなどに「まとめる」という作業も指しています。
「まとめを作ることは、時間の無駄になってしまうのでは?」
と感じている方もいるかもしれません。
でも、覚えたことをまとめるのは、「インプット」された情報を整理することなのです。
情報が頭の中で整理されると、初めてそれを応用して使う体制が整います。

近年の入試では、頭の柔軟性や論理性を求める問題が増えてきています。
覚えたことを自分なりにまとめることで 理解が深まり、
基礎を応用して解く入試問題にも対応できるようになるわけです。

夏は「受験の天王山」と呼ばれています。
受験生にとって、夏休みをどう過ごすかが 合否の大きな分かれめになるからだそうです。

パスナビ読者の皆さんには、「インプット」と「アウトプット」のバランスを上手にとりながら、
この夏、大きく飛躍していただきたい…と心から願っています。


7月14日発売です!
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☆ 『螢雪時代8月号』
☆ 螢雪時代8月臨時増刊『全国大学内容案内号』
☆ 螢雪時代特別編集『全国短大受験ガイド』











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